「円安」は本当に「悲観的」な状況なのか?

歴史的な「円安」が進んでいる2022年6月。
多くのメディアが「悲観的な報道」を繰り返しているのを目にし、もの凄く違和感を覚えている。
とある報道番組で
「アメリカのマクドナルドのハンバーガーが¥1500、ラーメンは¥3000もするんです。」そのレポートを受けてMCは「ひえ〜高すぎ。それって異常ですね。ラーメンが¥3000なんて考えられないです」と相づちを打つ。
一般の人であれば、この報道だけを聞けば鵜呑みにする人は多いと思う。そして「円安は悪だ」と感じるだろう。
確かに「数字だけ」を見れば、異常な事態だと感じるだろうが、実はここにはトリックがある。
円安というのは「円の他通貨に対する相対的価値」が下がっている状態を言う。
すなわち、米ドルと日本円を総体的価値で見た場合、$1の価値が日本円に換算すると¥135であり、$10の商品を今まで¥1250で買えていたのに今は¥1350払わないと買えないと言う事なのだ。
ビッグマックがNew Yorkで$5.23している。日本円に換算すると¥706。セットだと$7.85だから¥1059になる。
しかし、日本国内ではビッグマックが¥390で、セットで¥690。
日本国内にいて、わざわざアメリカのマックをオーダーするバカはいない。

アメリカに住んでいた経験がある俺にしたら、$5.23はちょっと高いとは思うけれど、そんな目が飛び出るような価格ではない。
それに、このちょっと高いと言う感覚。これは、値段が上がっているからである。じゃあ、なんで値段が上がっているのか?
これは、今のアメリカの景気に関係してくる。昔、バイトをしていた仕事、当時は1日$150だった。それが今、1日$200になっているらしい。
そう収入が増えているのだ。
日本の平均年収は400万らしいので、この数字を元に考えてみると。
ボーナスなどを考慮せずに、単純に月で割ってみると33万3333になる。
アメリカの平均年収は$69392で、月割りすると$5783になる。

この月収を全てビッグマックセットを購入したら、日本は483個買え、アメリカだと737個買える事になる。

これがどう言うことかというと、アメリカの方が収入から考えた場合、ビッグマックは安いのだ。
その収入の部分を無視して、単純に為替の数字だけをあてはめれば、そらあ高くなるのは当然だよね。

日本国内も、アメリカ国内もちゃんと収入に対するバランスが取れていると言うことだ。

しかし、日本が円安になって家計が圧迫されているのは、なぜなのか。それは「輸入」が多いから。様々な物を輸入に依存している日本。その価格が円安によって日本側から払う金額が増えてしまう。今まで、125円だった物が、円安によって135円払わないと買えなくなっているのだから。
でも逆に、輸出する商品を考えると、利益が増えることになる。

日本から輸出をしてビジネスをしている事業者は円安によって、今ウハウハになっているはずだ。しかも、日本の景気が悪いという空気感の中で、給料も上がらない(上げなくてもいい雰囲気)わけだから、会社への収入は増え、支出である給与は同じままでいいのだから、会社に貯まって行くよね。

しかし、資源の少ない日本にとって、輸入は大きなウエイトを占めている。
その為、円安のメリットを受ける企業は限定的であろう。
ただ、勘違いしないで欲しいのは、対アメリカで考えた場合という点。ただ、円ドルの相場に引っ張られて、主要なユーロや香港ドルなども一緒に円安傾向になっているので、こう言った国との取引もアメリカと同じ様な状況になっている。
輸出入と言う、海外との取引をかますから、大変な状況になっている訳で、純粋に国内の生産物に関しては、日本国内では大きな変動は起きない訳だ。
もちろん、原油価格や、どうしても海外から輸入しければならないパーツといった、間接的な影響は多少なりとも影響が出るが、国内での生産力を上げれば、問題は解決する。
農産物や海産物と言った第1次産業だ。
しかし、じゃあ直ぐに手を打ったところで、直ぐに価格が安定する訳では無いが(生育に時間がかかる為)、農産物であれば、今から対策を講じれば、秋口くらいには結果が出始めるだろう。
それに、国内での需要を上げるチャンスだし、そうすれば農家や畜産もちゃんと利益上げて行けるし、安心安全な物を手に入れることが出来る。

そう考えれば、国内で生産、消費を促して行くことで、国内の経済は好転に転じるのではないだろうか。

そういった多角的な角度からの考察を情報提供せず、悲観的な面ばかりの情報で不安を煽るばかりのメディアの報道はそろそろ辞めた方が良いのではないだろうか。