「動画制作」と「映像制作」の違い。

近年、YouTubeをベースにし、一般人も気軽に動画を投稿し拡散することが出来る様になりました。
また、技術の進歩というのも後押しをする一端を担っており、iPhoneなどはその代表格でしょう。
一般の誰もが簡単に手に入れることの出来るiPhone。スマートフォンという、あくまでも「電話」の延長線上にある機器で有りながら、高画質な動画の撮影が可能となり、しかも、それ1台で編集から公開、ライブ放送までが出来てしまう。
正に技術の進化ですよね。

僕はこれが決して悪い事だとは思っていません。逆に、歓迎すべき事だと感じて居ます。

それは、「動画」「映像」に関心を持つ「若者」を増やすきっかけ、入り口になると感じて居るから。

しかし、とても大切な事がひとつあります。それが今回の表題にもある、「動画制作」と「映像制作」の違いです。
どちらも、似た言葉ではありますが、異なる2つであると言う事を理解されている方はどれ位いるのでしょう。

そしてこれは、単に技術が進歩して高画質な物を撮影出来る機材が手に入るようになったからと言って、クリヤー出来る問題では無いと言うことです。

爆発的にシェアーを伸ばしている「動画制作」。昨今のYouTubeがこの分類に入ると考えます。ただ、カメラで撮影をし、編集をし、おもしろおかしくユーザーを取り込んでいるそんな動画。
「今の流れだから」確かにそうです。そして、それが決して悪い事ではありません。
しかし、この手の動画は「消費される動画」と位置づけをしています。

話題性だけで、視聴をするが、見終わった後に「何か残る物」が無い。これを「消費される動画」と定義しています。

それに対して「映像制作」は、同じ「動画」という物を扱うことに変わりはないのですが、そこには、ちゃんとした技術・知識・表現が備わっており「残る映像」だと認識をしている。

例えば「シン・ゴジラ」などでは、プロ用の機材だけではなく、iPhoneを使用して撮影をしたカットなども使われています。これは機材の性能が向上したと言うだけではなく、映像表現の中に取り込む要素としてiPhoneを活用したと言う事例であり、映像表現の手法として、決して高額な機材である必要は無いという事。

「映像制作」の重要な要素は、企画力・技術力・表現力ではないでしょうか。

当社が「ドローン」を保有している理由もここにあります。
もちろん、ご要望があれば「空撮」を行います。なぜならば、それは「機体」があるからです。
しかし、本来ドローンを導入した理由というのは、映像表現の中で必要だからです。
ですから、何でもかんでもドローンを飛ばした映像を撮影して、作品の中に取り込むことはしていません。
その作品の中に、そのカット(ドローンでの空撮カット)が必要だから、フライトを行い、その必要となる素材を撮影しています。

全ては「映像制作」の表現として「必要だから」なのです。

最近のYouTuber達も結局の所、「本人」ではなく、「企画」「撮影」「編集」というチーム体勢で制作をし、表に出ている「YouTuber」は結局の所「タレント」という位置づけなのが多いと思います。
もちろん中には、個人で発信を頑張っている方もおられます。

今や、誰しもが簡単に「撮影」「編集」「発信」を出来る時代になりました。しかし、最も需要なのは、企画・演出(表現)というのは、そう簡単に手に入る物ではないと言う事です。

若手クリエイターが、どんどんトライすることは非常に良い事だと思います。
ただ、発注側が安易に「安価だから」という理由だけで、依頼をすると大きなリスクを伴うことを理解しておく必要があると感じて居ます。